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【THE NIGHTFLY】Donald Fagen

19 6月

夜だけでなく雨の日にも聴きたくなる80年代の名盤!

Donald Fagen / The Nightfly(1982)

3回目を迎えた音楽巴塾。

今回は超名盤をご紹介しましょう。

音楽好きにはいまさら解説するのが烏滸がましいくらいのチョー名盤です。心地よいサウンドに隠されたテーマ性を持ったアルバムなのでいつかはまとめたいと思っていました。

ドナルド・フェイゲン

『ナイトフライ』

リリース1982.10.29

私が洋楽をヘヴィーに聴くようになったのは小学5年生前後。キッカケはラヂオから流れるソウル、R&B、ブルーアイドソウル(白人のR&Bね)。なぜかロックではなく、グルーヴ感満載の楽曲が洋楽への入り口でした。
年でいうと1980年前後くらいかな。当時(なにぶん小学生なもんで)お金がないのでソニーのCHFというローファイなカセット(叔母からもらったもの)をソニー製のラジカセで何度も重ね録りしながらからエアーチェック(ラヂオ番組を録音すること)をして、お気に入りの音楽を見つけては聴いていたものです。中学生になると通称ステレオというソニー製のシステムコンポを買っていただき、その後音楽バカ度はさらに悪化していきます・・。そんな中で出会ったアーティストの1人が今回取り上げるドナルド・フェイゲンです。
彼はミクスチャーロックの元祖ともいえるスティーリー・ダンというジャズ・ソウルテイスト満載のこれまた素晴らしいバンドの創設者でもあり、既に人気実力ともにスペシャルな存在でした。バンド活動停止後のファーストソロアルバムが今作なのですが、私は本作品の後にスティーリー・ダンを聴いた世代。
アルバムの総評からするとかなり大人のロックです。ジャズフレイバーが随所に散りばめられサウンド自体がかなりアダルトなテイストです。免許をとってクルマに乗り始めた頃はCDチェンジャーにテッパン盤として常時掛けられるようにしてました。都会のナイトドライブには最高にマッチするこのアルバムは、女子を乗せたとき最高の演出をもたらせてくれましたね。ま、その演出で自分が酔ってましたが。

■アルバム『The Nightfly』

さて、この「ナイトフライ」のご紹介をしましょう。
プロデューサーはスティーリー・ダン時代から引き続き盟友ゲイリー・カッツ。そしてやはりバンド時代後期と同じく超一流ミュージシャンを迎え、今では当たり前になっているデジタル・レコーディングの世界初のフルアルバムです。
さらにその音質の良さ、ミキシング・バランスなど、その後の多くのレコーディングエンジニアが機材の再生チェック時に使うリファレンス音源としていまだに使用されています。
このアルバム以降、スタジオに何年も籠って作品を作るスタイルが定着したエポックメイキングな1枚。30年経っても今の音楽のように聴けるほどの完璧な完成されたミキシングは特筆すべき点だし、音質も内容も50年経とうが100年経とうが普遍的に聴けるよう創られているアルバムだ。
そして、楽曲クオリティーの高さ。さすがは完璧主義者といわれるフェイゲンらしい作品。参加したアーティスト達は一体なんテイク取り直していることだろうと思わずにはいられない。1枚のアルバムを作るまでの全要素を高次元で実現させてしまっている、デジタル録音最初期にして最高峰、且つ各アーティストの指針になる作品なのです。
そんなアーバンで心地良いサウンド以上にこのアルバムの真のスゴいところがある。それはシニカルでありアイロニカルな詩の世界。フェイゲンは、このアルバムの主人公にありふれた青年をおき、その青年が抱いているファンタジックな未来への期待と未来が現在になった時の諦めを一人の視点から表現している。
アルバム全体から醸し出す雰囲気は主人公が歩んだ50〜60年代のアメリカ。現代(80年頃)から振り返る青年の若い頃の時代を皮肉たっぷりに歌に表現したといったところでしょう。
そして徹底的に50年代を再現した、ドナルド・フェイゲンの写真を据えたアルバムジャケットが、最高に大人っぽく、この中に大人の音楽がつまっていると思ったものです。

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tracklisting

I.G.Y.
この略語は1957〜58年に行われた科学プロジェクトInternational Geophysical Year(地球観測年)のこと。レゲエのリズムをうまく取り入れた都会的なサウンドに、マイケル&ランディ・ブレッカー兄弟のホーンアンサンブルがノスタルジックな世界へ誘うオープニング曲。歌われるのは、I.G.Y.で唱えられた楽観的な未来像。NY−パリ間を90分で走る海底鉄道や空飛ぶ自動車など、夢のような世界が広がり将来に大いなる希望を抱いている。
特にサビの部分のコーラス
 ”What a beautiful world this will be(この世は、なんて素晴らしい世界になるんだろう)”
 ”What a glorious time to be free(自由になるって、なんて喜ばしいことなんだろう)”
主人公が抱いた楽観的に謳歌していた未来に対しての希望を歌にしてるが、このサビのメロディーには儚さが漂い、コーラスの入りも切なくもの悲しい印象的なもの。心地いいサウンドとは裏腹に詩も含め根本はかなりクール。結局何も実現してないじゃないか・・・と思う現在(80年代)の主人公の冷めた気持ちがコーラスワークから伝わってくる。
Green Flower Street
50年代のアメリカは飛躍的に発展・開発を遂げている最中だった。しかし都市部から郊外へ人が移り住む際のスプロール現象による弊害も多くある。この曲はそんな弊害がもたらす1つを歌ったものだ。ネオンが煌めき人種など関係なく悦に浸れるグリーンフラワーストリートという街が舞台。だが裏通りでは殺人事件が当たり前に起き始め、夜になると秩序が無くなる快楽の街をこれまた軽快なリズムで歌にしている。主人公はここの居心地から抜け出せなくている。
タイトルはジャズの名曲Green Dolphin Streetをモチーフにしているのであろう。
ラリー・カールトンのギターソロもひたすら軽い。
Ruby Baby
アルバム唯一のカバー曲。原曲はドリフターズ。アーバンミッドナイトがよく似合うアレンジ。内容はルビーという娘にゾッコンになるというそれだけの歌だが、主人公がある娘に夢中になる様をカバー曲を用いて描いたのであろう。
愛しのMaxine
美しくジャジーなバラードナンバー。周りが反対するほどの恋をした主人公とマキシン。責任をとれる時までお互い待とうと歌っている。曲調が緩やかで貞操を守るといった時代背景に美徳を感じる。そして都会への憧れも描かれているのだが、これも若気の至りと感じさせるような皮肉がこめられている。
New Frontier
LPレコードでいうB面1曲目。ケネディー大統領の唱えた「ニューフロンティア精神」からとられたタイトル。そしてキューバ危機という時代背景のなかで、仲間達を集め核シェルターで飲めや歌えや踊れやのドンチャン騒ぎする若者達。若者のライフスタイルと政治の歪みが垣間見れる皮肉タップリの歌。
The Nightfly
アルバムのタイトル曲にもなっている通り、この曲ではフェイゲンがDJを務める深夜放送を主人公が聴いている。その様子がジャケット写真というわけだが、三森さんが初回に取り上げたソニー・ロリンズを掛けようとしている。「THE CONTEMPORARY LEADERS」という1958年のアルバムだ。まさにアルバムタイトル曲に相応しい演出。歌詞もまさにDJそのものというフレーズも粋だ。
The Goodbye Look
ラテンのリズムでカリブサウンドが印象的な曲。主人公とマキシンの別れの予感を革命が起きているキューバの動乱に喩えている。希望に満ちていた行く末が変化してきたという隠喩。
Walk Between Raindrops
邦題「雨に歩けば」。とても明るい曲調でハッピーな印象を受けるアルバムの最終曲。舞台は夕立のマイアミのビーチ。主人公とマキシンが雨に濡れながら歩く様を描写しているが、歌詞の内容を紐解くと主人公はマキシンと別れたんだなということが暗示されている。そして彼らが過ごしたI.G.Y.の時代は永遠に戻ってこないのだろうとも。

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このようにメッセージ性があるアルバムなんですが、BGMとして聴くにも充分おしゃれな1枚です。そしてなによりアルバムジャケットからしてダンディズムというオーラを醸し出しています。

by タバチン

the nightfly

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投稿者: : 2012年6月19日 投稿先 3.Rock(ロック)

 

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